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淡路島の女王 寺嶋由芙 [芸能]
前夜祭も合わせ、5月27日~29日の3日間開催されたアイドルフェス「ガールズ・ポップ・フェスティバル in 淡路島」。あまりの惨状からTwitterでトレンド入りを果たし、たっぷりの皮肉を込めて「伝説のアイドルフェス」と呼ばれている。そんな淡路島のフェスで、常に前向きな笑顔で「女神」と呼ばれたアイドルが寺嶋由芙さんだ
アイドル専門レーベル「フォースミュージック」が主催したアイドルフェスは、当初アイドル100組が参加すると発表されていた。
だがイベント直前になっても、その半分の51組しか発表されない。開始3日前になって「のべ100組」と急きょ表記を変更。針千本のまされるレベルだ。参加アイドルに対しても、宿泊先やタイムテーブルの連絡はなし。開催日が近づくにつれ、アイドルの出演キャンセルが相次ぐ。
フェス参加が決まっていた寺嶋さんの元に、宿泊先の情報が届いたのは、参加する前夜祭イベント前日だった。
イベントはあるんだろうかと心配も募ったが、寺嶋さんは「始まる前からこれだけ話題になるイベントもないので、絶対辞退しないって心に決めました」と前向きに捉えた。
ヒドすぎて伝説となった淡路島フェスで「女神」と呼ばれたアイドルに学ぶ逆境力
移動のバスはガラガラ(寺嶋さんのTwitterから)
前夜祭からとんでもない事態が続々
前夜祭当日。淡路島に向かおうとした寺嶋さんたちをいきなり異変が襲う。
「淡路島に向かう関係者用のバスに乗ったら、40人乗りのバスに私とマネージャーだけでほぼ貸切だったんです」
普通なら誰かアイドルは乗っている。明らかに異常事態だが、寺嶋さんはここでも前向きに考えた。
「私、ゆるキャラが大好きだったんですけど、貸切だったので淡路島のサービスエリアに寄り道してもらって、ゆるキャラと写真撮りました」
たどり着いた淡路島の前夜祭会場は800人ほどが入る大きなホール。寺嶋さんはマイクチェックなどリハーサルができないかと頼み、運営側から告げられた16時に会場に向かうと…。そこには既に客が入っていた。
予想外の事態だったが、寺嶋さんは前向きに公開リハを楽しんだ。本番が始まると、集まったお客さんは前列3列に固まり「人数は100人いたかな」というほど。会場はガラガラだ。
「伝説はじめましょうね!」
そのかけ声とともに寺嶋さんはライブをスタートさせた。
「この前夜祭にたどり着いた人は勇気があるオタク。彼らに伝説と感じてもらえる、ここまで来て良かったと思えるライブにしたいと思ったんです」
ファンの数が少ないことを活かし、ファン一人ひとりに何度も目線を送る。さらにステージから客席に降りてパフォーマンス。アイドルとの距離の近いライブにオタクたちも笑顔だ。
ステージは遊園地の駐車場にメーン、サブが2つ。遊園地内に2か所が設けられた。イベントが始まっても、タイムテーブルや地図の配布はなかった。
駐車場にあるステージの音響はばっちりだったが、問題はメーンとサブステージの間隔。数十メートルしか離れていないので、当然ライブの音はかぶりまくる。
運営側の落ち度もこのころには「かわいく見えてきた」という寺嶋さん。
「ステージの距離が近いからオタクがメーンとサブを移動し放題。人の流れがステージからよくわかったので、一人でも多く立ち止まらせたいと思った」
アイドル魂に火がつき、初日、2日目のステージを精力的に動き回った。
寺嶋さんとオタクたちには共通する思いがあった。
「参加したから爪痕を残さないと。その思いは私とオタクで共通していました」
寺嶋さんが何かアクションを起こせば、それにオタクたちも全力で反応する。一つのチームだった。
寺嶋さんとオタクたちが楽しむ様子はTwitterを通して、イベントに参加していた別のオタク、イベントには来ていないアイドルオタクにも伝わった。「淡路島をこれだけ楽しんでいる寺嶋ってアイドルは誰なんだ」と寺嶋さんのステージに新規のアイドルファンが訪れるようになった。
2日目のステージでは観客の下に降りて、一緒に円陣を組んで歌った。
「その光景を写真に撮られてSNSに載った時、すごく楽しんでるじゃんという感じを出したかったんです」
淡路島のフェスはTwitterでトレンド入りし、そこで楽しむ寺嶋さんはいつしか「淡路島の女王」と呼ばれるようになっていた。
ヒドすぎて伝説となった淡路島フェスで「女神」と呼ばれたアイドルに学ぶ逆境力
7月8日にはワンマンライブが控える
なぜ、そこまで前向きでいられたのか
「例えばお客さんが本当に不愉快だったり、悲しいのならよくないけど、淡路島では自分の気持ち次第でなんとかなる。ひっくり返せると思ったんです」
以前所属したアイドルグループ「BiS」では、はちゃめちゃなコンセプトの中、唯一の黒髪正統派。その後はグループアイドル全盛期にソロアイドル。常にアウェーの環境に身を置いた。
「いつもやっていることが時代の流れと逆。でも、そんな私について来てくれるオタクだから一緒に楽しめる。私も私のオタクも逆境に強い。逆境に燃えるんです。それがうれしい」
ずさんなイベントの中でも楽しみを自分で見つけるオタクの姿を見て、マネージャーは寺嶋さんにこう言った。
「今日のイベントを見て思ったけど、世の中みんなアイドルオタクだったら、世界中幸せなのかもしれないね」
淡路島のフェスは寺嶋さんにとっても一つの区切りとなった。前事務所での最後の仕事。マネージャーとも最後の仕事となった。
環境が変わっても、スタッフが変わってもぶれずに自分のやりたいことをやっていく。これは淡路島でも、7月8日に新宿BLAZEで行われるワンマンライブでも変わらない。
「ワンマンライブでは、新しい流れの変化を見せつつ、芯のところを大事にしたい。普段のライブではできない演出を考えています。淡路島よりは不安なく見てもらえると思います(笑)」
ライブ当日は寺嶋さんの誕生日。「私の生誕祭ですけど、推し(アイドル)のお祝いはオタクのお祝いがモットーなので、ライブはオタクたちへ感謝を伝える会にしたい」という。
「もう一度淡路島のアイドルフェスがあれば行きたいですか?」
最後の質問に、寺嶋さんは笑顔でこう答えた。
「あったら行きたいですけど、もうないと思います!」
アイドル専門レーベル「フォースミュージック」が主催したアイドルフェスは、当初アイドル100組が参加すると発表されていた。
だがイベント直前になっても、その半分の51組しか発表されない。開始3日前になって「のべ100組」と急きょ表記を変更。針千本のまされるレベルだ。参加アイドルに対しても、宿泊先やタイムテーブルの連絡はなし。開催日が近づくにつれ、アイドルの出演キャンセルが相次ぐ。
フェス参加が決まっていた寺嶋さんの元に、宿泊先の情報が届いたのは、参加する前夜祭イベント前日だった。
イベントはあるんだろうかと心配も募ったが、寺嶋さんは「始まる前からこれだけ話題になるイベントもないので、絶対辞退しないって心に決めました」と前向きに捉えた。
ヒドすぎて伝説となった淡路島フェスで「女神」と呼ばれたアイドルに学ぶ逆境力
移動のバスはガラガラ(寺嶋さんのTwitterから)
前夜祭からとんでもない事態が続々
前夜祭当日。淡路島に向かおうとした寺嶋さんたちをいきなり異変が襲う。
「淡路島に向かう関係者用のバスに乗ったら、40人乗りのバスに私とマネージャーだけでほぼ貸切だったんです」
普通なら誰かアイドルは乗っている。明らかに異常事態だが、寺嶋さんはここでも前向きに考えた。
「私、ゆるキャラが大好きだったんですけど、貸切だったので淡路島のサービスエリアに寄り道してもらって、ゆるキャラと写真撮りました」
たどり着いた淡路島の前夜祭会場は800人ほどが入る大きなホール。寺嶋さんはマイクチェックなどリハーサルができないかと頼み、運営側から告げられた16時に会場に向かうと…。そこには既に客が入っていた。
予想外の事態だったが、寺嶋さんは前向きに公開リハを楽しんだ。本番が始まると、集まったお客さんは前列3列に固まり「人数は100人いたかな」というほど。会場はガラガラだ。
「伝説はじめましょうね!」
そのかけ声とともに寺嶋さんはライブをスタートさせた。
「この前夜祭にたどり着いた人は勇気があるオタク。彼らに伝説と感じてもらえる、ここまで来て良かったと思えるライブにしたいと思ったんです」
ファンの数が少ないことを活かし、ファン一人ひとりに何度も目線を送る。さらにステージから客席に降りてパフォーマンス。アイドルとの距離の近いライブにオタクたちも笑顔だ。
ステージは遊園地の駐車場にメーン、サブが2つ。遊園地内に2か所が設けられた。イベントが始まっても、タイムテーブルや地図の配布はなかった。
駐車場にあるステージの音響はばっちりだったが、問題はメーンとサブステージの間隔。数十メートルしか離れていないので、当然ライブの音はかぶりまくる。
運営側の落ち度もこのころには「かわいく見えてきた」という寺嶋さん。
「ステージの距離が近いからオタクがメーンとサブを移動し放題。人の流れがステージからよくわかったので、一人でも多く立ち止まらせたいと思った」
アイドル魂に火がつき、初日、2日目のステージを精力的に動き回った。
寺嶋さんとオタクたちには共通する思いがあった。
「参加したから爪痕を残さないと。その思いは私とオタクで共通していました」
寺嶋さんが何かアクションを起こせば、それにオタクたちも全力で反応する。一つのチームだった。
寺嶋さんとオタクたちが楽しむ様子はTwitterを通して、イベントに参加していた別のオタク、イベントには来ていないアイドルオタクにも伝わった。「淡路島をこれだけ楽しんでいる寺嶋ってアイドルは誰なんだ」と寺嶋さんのステージに新規のアイドルファンが訪れるようになった。
2日目のステージでは観客の下に降りて、一緒に円陣を組んで歌った。
「その光景を写真に撮られてSNSに載った時、すごく楽しんでるじゃんという感じを出したかったんです」
淡路島のフェスはTwitterでトレンド入りし、そこで楽しむ寺嶋さんはいつしか「淡路島の女王」と呼ばれるようになっていた。
ヒドすぎて伝説となった淡路島フェスで「女神」と呼ばれたアイドルに学ぶ逆境力
7月8日にはワンマンライブが控える
なぜ、そこまで前向きでいられたのか
「例えばお客さんが本当に不愉快だったり、悲しいのならよくないけど、淡路島では自分の気持ち次第でなんとかなる。ひっくり返せると思ったんです」
以前所属したアイドルグループ「BiS」では、はちゃめちゃなコンセプトの中、唯一の黒髪正統派。その後はグループアイドル全盛期にソロアイドル。常にアウェーの環境に身を置いた。
「いつもやっていることが時代の流れと逆。でも、そんな私について来てくれるオタクだから一緒に楽しめる。私も私のオタクも逆境に強い。逆境に燃えるんです。それがうれしい」
ずさんなイベントの中でも楽しみを自分で見つけるオタクの姿を見て、マネージャーは寺嶋さんにこう言った。
「今日のイベントを見て思ったけど、世の中みんなアイドルオタクだったら、世界中幸せなのかもしれないね」
淡路島のフェスは寺嶋さんにとっても一つの区切りとなった。前事務所での最後の仕事。マネージャーとも最後の仕事となった。
環境が変わっても、スタッフが変わってもぶれずに自分のやりたいことをやっていく。これは淡路島でも、7月8日に新宿BLAZEで行われるワンマンライブでも変わらない。
「ワンマンライブでは、新しい流れの変化を見せつつ、芯のところを大事にしたい。普段のライブではできない演出を考えています。淡路島よりは不安なく見てもらえると思います(笑)」
ライブ当日は寺嶋さんの誕生日。「私の生誕祭ですけど、推し(アイドル)のお祝いはオタクのお祝いがモットーなので、ライブはオタクたちへ感謝を伝える会にしたい」という。
「もう一度淡路島のアイドルフェスがあれば行きたいですか?」
最後の質問に、寺嶋さんは笑顔でこう答えた。
「あったら行きたいですけど、もうないと思います!」
2016-07-07 11:52